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298 電子の歌姫の容姿と法律 その2 (2009/08/04(火)18:26:27)

前の記事の続きである。

ピアプロ・キャラクター・ライセンス(Piapro Character License)(以下「PCL」)」と「ピアプロリンク(Piapro Link Agreement)(以下「PLA」)」の一番の関心事は、「これで何が変わるのか」だと思われる。

よく言われるのは、これで二次創作等が適法になるということである。シロになるなんて言われる。確かにそうだ。というか、元々それを狙って作られたものだし。

でも、適法になったからなんなのだ。

著作権法に違反することで負うリスクは、大きく分けて二つあると考えられる。リスクであるから、必ず現実に起きるというわけではなく、可能性のお話である。

リスクの一つは刑事関係である。よく知られているが、権原なく他人の著作物を利用する行為は著作権の侵害に当たり、故意に著作権を侵害する行為は犯罪になる(著作権法119条1項)。

どんな行為が著作物を利用する行為になるのかというと、
  1. 著作物の複製(著作権法21条)

  2. 上演、演奏(著作権法22条)

  3. 上映(著作権法22条の2)

  4. 公衆送信等(著作権法23条)

  5. 言語の著作物の口述(著作権法24条)

  6. 美術又は写真の著作物の展示(著作権法25条)

  7. 映画の著作物の頒布(著作権法26条)

  8. 映画の著作物を除く著作物の譲渡(著作権法26条の2)

  9. 著作物の複製物の貸与(著作権法26条の3)

  10. 著作物の翻訳・編曲・変形・脚色・映画化その他の翻案(著作権法27条)

である。やたらと範囲が広いが、著作権者は自分の著作物についてこれらの権利を専有しているので、他人が権原なく故意にこういうことをすると、その権利の侵害として犯罪になるわけである。

ただ、現時点では著作権侵害は親告罪なので(著作権法123条1項)、著作権者等からの告訴がなければ、現実に有罪として処罰されることはない。とはいっても、著作権者等からの告訴というのは、犯罪成立の要件ではなく、起訴の条件だから、著作権を侵害しても告訴がなければ適法ということにはならない。つまり、著作権を侵害している事実があれば犯罪は成立しているが、著作権者等の告訴がなければ、それを実際に有罪として処罰することはできないというだけである。

そのため、親告罪なのに告訴がないまま起訴されたときには、「公訴提起の手続がその規定に違反したため無効である」として、控訴棄却の判決がなされる(刑事訴訟法338条4号)。もし、告訴がなければ適法だと考えるなら、無罪となるはずだから無罪の言渡しをしなければならないが(刑事訴訟法336条)、そうは考えられてはいない。

なお、無罪判決をすべきなのに公訴棄却の判決をしてしまうと、その判決は憲法違反の疑いがある(憲法39条後段)。

したがって、著作権者の許諾なく勝手に二次創作物等を公表したり販売したが、著作権者からの告訴はないという状態は、法律上は完全なクロである。

でも告訴期間は6か月間だから、その期間が過ぎれば大丈夫なんでしょ?というのは、誤解というか、不正確と思われる。確かに告訴期間は6か月間だが、そのカウントが始まるのは告訴できる者が犯人を知った時からとされている(刑事訴訟法235条1項)。したがって、著作権を侵害した者を著作権者が知らないうちは、カウントは始まらない。

自分は堂々とネットで公開しているんだから著作権者は知ってるだろう、というのは、自分に都合のいい推測でしかない。よほど目立つことをしない限り、企業が個人の活動なんぞいちいち把握していないと考える方が素直と思われる。そうだとすれば、実際に知られたら告訴される可能性は残っていることになる。

また、著作権者が黙認しているんだから大丈夫でしょ?というのも、心許ない。厳密にいえば、黙認でも明示的でも、著作権者が認めたといえるには、その前提として、著作権者が自分の著作権を侵害している(可能性のある)行為があることを知っている必要がある。存在を知らないのに認めたり許諾するという話にはなりようがない。要するに、著作権者が実際に知ってて黙っていなければ、黙認とはいえない。

著作権者が、誰が自分の著作物の二次創作をしているかを全て把握しているとは考えられないし、そもそも把握する義務もない。したがって、著作権者が文句を言ってこないから黙認だと考えるのは気が早い。知らないだけなのかもしれない。そうだとすれば、実際に知ったら認めない可能性は残っていることになる。

ましてやクリプトンキャラクターみたいにPCLやPLAといった適法化の手段をわざわざ用意しているような場合には、その条件に反することを知っててやっておきながら、やめろといわれなかったから黙認だ、と言い張っても認められない可能性は充分にある。そんなことになるならPCLとかPLAとか余計なものを作るな、なんていうのは、子供の論理である。

したがって、無断で二次創作等をすることは、法的には結構危険な行為といえる。これが適法とされれば、こういう心配をしなくて済むようになる。ただ、犯罪なんて無縁と思っている人は多いし、著作権者が実際に告訴したという話もあまり耳にしないから、多少でも実感のある人はほとんどいないかもしれない。

もう一つのリスクは民事関係である。著作権侵害は不法行為にあたるから、侵害によって生じた損害を賠償する義務を負う(民法709条)。

著作権侵害が不法行為となるには、著作権の侵害行為のほかに、故意・過失、因果関係、損害の発生が認められる必要がある。他人の著作物と知ってて二次創作等をしているのだから、故意・過失は認められやすいと思われる。

そして、著作権侵害によって損害が発生していれば、その損害の額を賠償することになる。いくらになるかは分からない。具体的にどの程度の損害が生じるかは、二次創作のやりかたや使い方など次第である。好意的に作られた二次創作物を無料で見られるように公開しているだけのようなときには、実害はほとんどなく、損害もない、ということもあるかもしれない。

ただし、著作権者は、故意又は過失によってその著作権を侵害した者に対して、著作権の行使について受けるべき額を自己が受けた損害の額として、その賠償を請求できるとされている(著作権法114条3項)。これは、要するに、著作権者はその著作物の使用料として相当な額を損害額として請求できるという意味である。このようにしないと正式な許諾を得るのは損ということになりかねないため、こういう規定があるそうだ。

したがって、上に書いた例のように、二次創作物を好意で無料で公開したようなときでも、正式な許諾を得てやったときには通常多少なりとも使用料を取られるとすれば、賠償の必要はないとはいかない可能性がある。

金銭などの対価を得て譲渡したような場合には、他の推定規定も適用される可能性が出てくるので(著作権法114条1項、2項)、黒字か赤字かには関係なく、賠償の必要がないということはないように思われる。

また、不法行為は原則として金銭による賠償しか請求できないが、著作権侵害の場合は、損害賠償のほか、侵害の差止めも請求できるし(著作権法112条1項)、侵害の停止又は予防に必要な物の廃棄等の措置も請求できる(著作権法112条2項)。著作権者は、公表するのはやめろとか、二次創作物を廃棄しろと要求できるわけである。せっかく創ったものを廃棄しなければならないというのは悲しすぎる、と考える人も多いだろう。

黙認については、民事でも上で書いたのと同じで、厳密には知ってて黙っていなければ黙認とはいえない。しかも、刑事では黙認ではないことを検察官が証明すると思われるが、民事で訴訟になったら、黙認があったということを証明するのは二次創作者側ではないかと思われる。著作権者が自分の二次創作を知っていたことを証明するというのは、なかなか難しいのではないだろうか。

損害賠償義務は時効によって消滅するが、時効の期間は3年である(民法724条前段)。こちらもただ3年が経過しただけではダメで、侵害があったこととその相手が誰かを著作権者が知るまで、カウントは始まらない。

ただし、こちらの方は刑事と違って、著作権者が知らないままでも、不法行為があったときから一定の期間が経過すれば、損害賠償義務は消滅する。その期間は20年である(民法724条後段)。したがって、3年か20年か、いずれにしても刑事よりずっと長い間心配し続けなければならない。

このほか、不当利得の返還(民法703条、704条)や名誉回復措置(著作権法115条)が請求されることもあるが、省略させていただく。なお、民事は刑事と違って、賠償請求、差止め、廃棄などの請求をするために訴訟を起こさなければならないということはない。当事者のみで解決できなければ訴訟になるというだけである。

こういったことも、二次創作等が適法になれば、心配不要になる。つまり、損害賠償も差止めも廃棄も法的に請求が不可能となる。著作権侵害というと刑事の方に目が行きがちかもしれないが、実は民事も大金を請求されたり廃棄を請求される可能性があって、結構怖かったりする。二次創作者からすれば、好きだから作ったものなのに違法だから廃棄しろと言われるのが一番つらいかもしれない。

以上は、著作権者と二次創作者等との間の関係である。これとは別に、著作権者ではない第三者と二次創作者等との関係もあるが、ここで記事を改める。

次の記事に続く。

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  1. 2009/08/04(火)18:26:27 |
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