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299 電子の歌姫の容姿と法律 その3 (2009/08/04(火)18:26:53)

前の記事の続きである。

前回書いたことは、著作権者と二次創作者等との間の関係である。これとは別に、著作権者ではない第三者と二次創作者等との関係もあるが、こちらの方は、「ピアプロ・キャラクター・ライセンス(Piapro Character License)(以下「PCL」)」も、「ピアプロリンク(Piapro Link Agreement)(以下「PLA」)」も、基本的には関知しないところと思われる。

ただ、他の企業がクリプトンからクリプトンキャラクターの使用を許諾されたようなときには、その企業と二次創作者との間で、衝突が生じることがあるかもしれない。たとえば、最初の記事でゲームのことを書いたが、クリプトンの許諾を得てクリプトンキャラクターが登場するゲームを制作した会社が、ある二次創作物の存在をそのゲームにとって望ましくない考えたときなどである。

このような場合、二次創作が適法なのか不適法なのか分からない曖昧な状態だと、著作権者又は許諾を受けた企業から二次創作物の差止めや廃棄を請求される可能性がある。これは、いくら著作権者が二次創作を奨励していたとしても、それは事実上のものに過ぎないのに対して、企業への許諾は法的な効力があるから、この二つの間には越えられない壁があるというしかなく、法的にはどうにもできないと思われる。

しかし、PCLやPLAなどに基づいて著作権者と二次創作者に法的な契約が成立していれば、企業が得た許諾も、二次創作者が得た許諾も、どちらも同じ契約であるから、同等の法的な効力があるということができる。そうすると、企業の側も、本当にそれが邪魔な存在なのか、慎重に判断せざるをえなくなるだろうし、一方的に二次創作側が折れるということも生じにくくなると思われる。

さらに、許諾を受ける企業に対してPCLやPLAが法的な契約であることについて理解を求め、たとえばクリプトンとその企業との間の利用契約で「クリプトンと二次創作者との間の契約に抵触することはできない」といったような内容の合意ができれば、二次創作者の立場はより強まると思われる。

ただ、クリプトンはクリプトンキャラクターが商品化されるときに、ピアプロでコラボレーションを企画することが多いので、二次創作等に理解のない企業がクリプトンキャラクターの商品化の企画を持ち込むことは、ブームの当初はともかく、今はないかもしれない。

以上、PCLやPLAについて私が思いついた法律面での影響は、こんなところである。法律面以外の面に関しては、最初の記事に書いたとおり私は詳しくないので、この記事では述べない。

ところで、ここまで読んで、なんかおかしいと思った方もおられるかもしれない。ここまで書いてきた影響だが、では告訴をしたり損害賠償や差止めを請求するのは誰なのか、といえば、クリプトンキャラクターの場合、著作権者であるクリプトンである。

しかし、クリプトンはPCLやPLAを発表する前から二次創作を奨励していたのだから、いきなり告訴や損害賠償をするとは考えられないのではないか。

部外者の私にクリプトンの内実は知りようがないが、確かに、営利企業なのにわざわざ直接的な利益に繋がらないPCLだのPLAだのを社員に1年も担当させて作って公表するようなところをみると、よほどのことがない限り、二次創作奨励の姿勢を変えることはないように思われる。

それでも、これまでに書いたような影響が生ずる可能性はあるのではないだろうか。

クリプトンの方針は同社社長の意思が強く反映していると思われるが、社長は個人、クリプトンは会社、法律上は別の人格であり、クリプトンキャラクターの権利者はあくまでもクリプトンである。そして、失礼に当たりそうであまり書きたくはないが、将来、何かをきっかけとして社長が交代することもありうるだろうし、クリプトンという会社がなくなることだってありうるだろう。

社長が交代すれば、クリプトンキャラクターの権利は引き続きクリプトンが有するが、それをどう扱うかは新社長次第となる。会社がなくなれば、通常はクリプトンキャラクターの権利はクリプトンや現社長以外の第三者に譲渡され、それをどう扱うかは譲渡を受けた第三者次第となる。

つまり、現社長の意思に変わりはなくても、クリプトンキャラクターの扱いが変わる可能性はある。

このような残念な事態となったときに、適法なのか違法なのか曖昧な状態のままだと、新社長または新権利者が二次創作なんか認めないと言い出したら、二次創作者はこれに対抗するのは難しいと思われる。公表していたものなどは引っ込めなければならなくなるだろうし、法的に筋が通るか否かは別にして、その新社長や新権利者が過去の二次創作等もダメだと言い出したら、訴訟のリスクを背負ってでも頑張る人はほとんどいないだろう。

しかし、PCLやPLAは契約であるとクリプトンは明言している。契約なら法的な拘束力があり、解除などの理由もなく一方が勝手に反故にすることはできないから、社長が交代しても鶴の一声でPCLやPLAを破棄されることはないと思われる。仮にそのようなことが起きそうでも、PCLやPLAといった後ろ盾があるのと、そのようなものがない曖昧な状態とでは、二次創作者側の対応の仕方には雲泥の差が生じるだろう。

また、クリプトンはいつでもPCLを停止又は終了できるが、それによって不可となるのは新たな利用であって(PCL7条3項)、それ以前の二次創作までさかのぼってダメとなることはないと思われる。

PCLには、クリプトンキャラクターの著作権が第三者に譲渡されることを想定した規定がある(PCL10条5項)。公告するとだけ書いてあり、譲渡によってPCLが終了するとは明記されていないから、第三者に譲渡されたときにPCLが継続する可能性も、又は少なくともそれまでの二次創作等についてPCLの効力が新しい著作権者に引き継がれる可能性も、残されている。つまり、法的な拘束力は譲渡を受けた第三者に引き継がれることが期待できるだろう。

そうすると、PCLやPLAは、一種の保険のようなものといえるのではないだろうか。保険は将来のためのものであって、今すぐ必要になるものではないし、将来問題が生じなければなくてもよいものである。しかし、掛けておけば安心が手に入る。しかも、普通の保険は対価が必要だが、PCLやPLAは保険料を払う必要がない。他人に迷惑を掛けないように創作して、必要があれば申請するだけでよい。

クリプトン側からみれば、せっせとPCLやPLAを作って自分の著作権を自ら制限することで、二次創作者に安心を与えていることになる。形式的には契約だが、実質的には著作権の一部放棄に近いといえるのではないだろうか。面白い試みと私は考えたい。

また、こう書くと、クリプトンは損する一方のようにもみえるが、そうでもないと思われる。

最初の記事に書いた今の状況をみると、二次創作を奨励することはクリプトンにとってプラスに働いているように思われる。みんなが自社の商品又はそのイメージキャラクターを使って、気持ちよく創作し、公表し、それが商品の宣伝にも、会社の宣伝にもなっている。

たとえばgoogleで「初音ミク」を画像検索すると、41万件以上がヒットする。最初はたった3枚の公式絵しかなかったのに、今や41万である。他のクリプトンキャラクターも同様である。このような状況が生じたのは、キャラクターの魅力が最大の原因なのだろうが、クリプトンの姿勢もあったのではないだろうか。

また、元々音源という著作物を調達して売る会社であるクリプトンにとって、二次創作等を含めた創作活動に対しておおらかであるというイメージも、プラスに働くと思われる。初音ミク以降、クリプトンという会社の知名度も格段に上昇しただろう。

さらに、PCLは、クリプトンキャラクターのイメージを損なうような行為などをすると破棄され(PCL7条1項)、PLAはPCLが適用されない者には適用されないとされている(PLA5条1項4号)。緩やかではあるが、このようなペナルティを課すことで、二次創作者にPCLやPLAに反するような行為をしないという動機が与えられる。

その結果、二次創作者側の自発的な意思によって、商品やキャラクターのイメージが損ねられることをある程度防止できることが期待できる。

それと、他の企業にクリプトンキャラクターの使用を許諾するようなときには、PCLやPLAがあると、企業の使用と個人の二次創作等で扱いが異なることの説明もしやすいのではないだろうか。PCLによって、何が許されるのかが曖昧な黙認ではなく、無償の二次創作等は適法と明言することで、営利目的の企業活動と一線を引いているという姿勢が明確になる。

また、PLAは、有償であっても営利には当たらない場合にのみ適用されるから、企業が営利を目的としてクリプトンキャラクターを利用する場合とは事情が異なると説明できるだろう。また、PLAに従わない二次創作者はPLAで適法にはならないから、クリプトンが認めていないのにアンダーグラウンドで勝手にやっているだけと説明できるだろう。

ということで、まとめると、PCLやPLAは、将来の法律的リスクを事前に摘み取って、安全を保証することで、これまで以上に二次創作を奨励しようとしている、といったところだろうか。

ここまでやるとはクリプトンの本気を感じさせる。囲い込みとかいうようなちんけな発想でここまでやるとは私には思えないが、いかがだろうか。今までの姿勢もそう簡単には変えないだろう。現実に何かが大きく変化するということはそう簡単には起きないかだろうが、少なくとも法的には充分に意味のあることと私は考えたい。

ところで、以上のような効果をPCLやPLAに期待できるとしても、本当にそれを期待してもいいのかという問題があるが、ここで記事を改める。

次の記事に続く。

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  1. 2009/08/04(火)18:26:53 |
  2. カテゴリー:VOCALOID
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  5. タグ:PCL ピアプロリンク 初音ミク 著作権法 VOCALOID

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