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301 電子の歌姫の容姿と法律 その5 (2009/08/04(火)18:27:41)

前の記事の続きである。

これまでに書いたことのほかに、「ピアプロ・キャラクター・ライセンス(Piapro Character License)(以下「PCL」)」や「ピアプロリンク(Piapro Link Agreement)(以下「PLA」)」を眺めていて、若干気付いたことなどを書いてみる。

前の記事よりさらに細かくなり、かつ実際上の影響は少ないと思われるハナシばかりなので、法律論に詳しくない方は適当に流した方がよいかもしれない。

一つめ。PCLに基づく契約は、二次創作物単位なのだろうか、人単位なのだろうか。

ガイドラインによれば、クリプトンキャラクターの二次創作等をすることで、自動的にPCLに基づく契約が成立し、効力が生じるとされている。PCLにも同じ趣旨の規定がある。これは、二次創作等をするごとにその二次創作物についての契約が成立して、たくさん二次創作等をする人はたくさんクリプトンとの間で契約することになるように読める。

一方で、PCL7条1項は、二次創作者等がPCLに違反するとPCLは自動的に終了するとしており、PCLに従わない二次創作者がいたときには、その者との間の一つの契約が終了すると考えているように読める。この規定の趣旨は、違反するような人は適法にしてあげないんだからね!ということだと思われるので、違反した二次創作物についてだけ契約が終了するという意味ではないと思われる。

どちらでも実際上の影響はあまりないように思われるが、どちらなのだろうか。著作権法における許諾が通常どのように考えられているのかということで決まるような気もするが、著作権法をよく知らないので、結論はわからない。

二つめ。PCLには適用対象が個人のみと明記されていないが、何か理由があるのだろうか。

PCLでは「個人」という言葉が使われておらず、全部読んでも対象は個人だけということがはっきりとは書かれていない。これが明らかにされているのはガイドラインである。しかし、ガイドラインは法的な契約とは明確に位置づけられていないから、PCLの中で個人が対象と明確にした方がいいのではないだろうか。

もしかしたら、法人格のない団体にもPCLが適用されるという理由で、このようになっているのかもしれない。そうだとすれば、法人には適用されないことがわかる定め方をすればいいのではないだろうか。たとえば、PCL1条1項6号の「利用される方」を「利用される方(法人を除く。)」にしてみる感じである。

ちなみに、PLAには対象が個人であることが明記されている(PLA5条1項1号、5条2項1号)。

これも実際上の影響はないと思われるが、あえてPCLで外してあるとすれば理由は何なのか、興味深い。

三つめ。PLA4条1項1号と2号は、どういう意味だろうか。

いずれも「何が」利用され、又は適切であるべきなのかが規定から読み取れず、日本語として意味不明になっているように思われる。趣旨としては、本件申請物(PLA3条1項)の利用のことではないかと思われるが、日本語としてわかりにくく、その結果曖昧になってしまっていると思われるので、言葉を補充して明確にするとよいのではないだろうか。

ついでに、ガイドラインの「趣味の範囲を越える」というのも、基準としては曖昧すぎてわかりにくいと思われる。そうとしか言いようがないのかもしれないけど。

四つめ。PCLとPLAの違いについて。

今までPCLとPLAをほぼ一緒くたにして書いてきたが、この二つの規約は適用される場面が同じではないし、内容も異なるところがいくつかある。私が気付いたPCLとPLAの違いを箇条書きにしてみると、こんな感じになる。ただし、漏れや勘違いもあるだろうから、鵜呑みにするのは危険である。
  1. PCLは対価を伴わないとき(無償)に適用されるが、PLAは対価を伴うとき(有償)に適用される。

  2. PCLでは、特別な手続は不要で、二次創作等をすれば自動的に適用を受けるが、PLAでは、適用を受けるためにピアプロへの登録やPLA適用の申請といった手続が必要になる。

  3. PCLには原則として有効期間がないが、PLAには1年間の有効期間があり、更新することができる。

  4. 規約違反の場合、PCLはその時点で契約が終了するが、PLAは取り消されることで最初にさかのぼって契約が無効になる。

  5. PCLでは、規約の条件に合わないときには契約が成立しないと考えられるが、PLAでは、申請が受理されれば、規約の条件に合わなくても、一応契約が成立すると考えられる。

  6. ・PCLには未成年者に関する条項がないが、PLAにはある。

PCLは二次創作等をしただけでも適用されるなど、対価を伴わない無償の場合に限って適用されるものだから、その行為は趣味の活動の範囲内と容易に推測することができる。

したがって、気楽に趣味活動ができるよう、実際にお互いが出向いて契約をするというような面倒はできるだけ避けるのが望ましい。そのため、PCLでは、創作等をするだけで契約が成立するという仕組みになっているのだろう。

これに対して、PLAは有償だが非営利目的で配布するときに適用される。二次創作の中には著作権法のきつい制約を緩めてもいいものもあるのでは?という話が出てくるのは、それが見返りを要求しない好意的な趣味の範囲内の活動だから、ということが背景にあると思われる。

そうだとすると、配布等に伴って対価が生じるときには、それが実際には趣味の範囲内のものだとしても、営利目的の場合と外見的には見分けがつかず、趣味の活動という推測が働かなくなるから、積極的なアクション、すなわち申請等を要求する仕組みになっているのだろう。

対価が生じるか否かでPCLとPLAの違いが生じているが、営利目的のクリプトンキャラクターの利用では個別の契約が必要とされているから、外見的には営利目的と見分けがつかない有償の活動について、無償の場合と区別して、それを適法にするためには申請などの手続が必要としたり、期間の限定を設けることは、合理的な取扱いといえるように思われる。

なお、PCLでは、規約の条件に合わない二次創作等ではそもそも契約自体が成立しないが(PCL3条1項本文)、PLAでは、規約の条件に合わないものでも、申請があって受理されれば一応契約は成立すると考えられる。クリプトンは原則として内容を審査せずにPLAの申請を受理するので(PLA3条6項)、このような事態が生ずることは当然に想定されていて、そのため、PLAでは規約違反のときには受理を遡及的に取り消すことができるとされている(PLA6条1項)。

五つめ。PCLやPLA以前の二次創作物はどうなるのだろうか。

PCLは今年の6月に、PLAは今年の7月に公表されたばかりである。PLAはその半年ほど前からベータ版が公表されていたが、クリプトンキャラクターの二次創作が活発になされたのは、ボーカロイドソフト「初音ミク」の発売直後からだから、PCLもPLAもないときに二次創作されたものも大量にあることになる。

これらの二次創作物の扱いについては、PCLにもPLAにも特に定めがない。法律ではこういう場合に経過規定が定められることが多いと思われるが、そのようなものは見あたらない。どうなるのだろうか。

素直に考えれば、特に定めがないのだから、二次創作物の公表等の当時の規約等がそのまま維持されるということになるだろう。すなわち、クリプトンが以前公表していたガイドラインやヘルプ(Q&A)に従った扱いがそのまま維持されるということになる。そうだとすると、二次創作の時期によっては、PCLやPLAとは異なる取扱いが必要になる可能性がある。

しかし、一方で、PCLは二次創作物を複製、上演等しても適用されるから(PCL3条1項2号)、たとえばボーカロイドソフト「初音ミク」の発売直後に二次創作した初音ミクのイラストをピアプロにアップロードして公表し続けていれば、PCLが適用されると考えることもできそうである。この場合、PCLやPLAが以前のガイドラインやヘルプ(Q&A)と矛盾抵触したときにどちらが適用されるのかという問題が生ずる可能性がある。

どちらになるのか、PCLやPLAを睨んでいても手がかりはなさそうだが、もし異なる取扱いになるとすると面倒なことになるので、可能ならPCLやPLAが全面適用される方向で統一されるのが望ましいだろうし、その旨が明らかにされるとなお望ましいと思われる。

なお、これとは別に、従前の扱いがどうだったかを知りたいときもあるだろうし、資料的価値もあると思われるので、以前のガイドラインやQ&Aを旧版だとわかる形で公表されることを望みたい。ここに書いてもクリプトンには伝わらないだろうけど。

ということで、PCLやPLAについて考えてみたが、ここで記事を改めて、最後に副産物のおまけについてである。

次の記事に続く。

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